【管理栄養士監修】免疫力を高める3つの方法とは?食事とサプリも気になるあなたへ
どうも自分は免疫力が低い…と感じるあなたへ。
免疫力が低くなると、身体に様々な不調のサインが現れます。
でも、免疫力を高めたいと思っても、具体的にどうしたらいいのかイマイチ分かりませんよね。
今回はそんなあなたに、免疫力を高める方法を分かりやすく解説します。
ここで正しい知識を身につければ、免疫力を高める方法のヒントだけでなく、免疫が低い人を騙そうとする情報も見極められるようになりますよ。
自分の身を自分で守りたい方は必見です。
もくじ
免疫力とは?
免疫をつける。免疫がない。普段から自然と使っている言葉ですが、そもそも免疫ってどういう働きを言うのでしょうか?
免疫とは自分の一部である「自己」と、細菌やウイルスなどの異物である「非自己」を識別し、その異物を攻撃・排除する生体防御システムのことです。
一言で言えば、ウイルスや細菌が体内に入った時、有害物質を倒して体を守ってくれるのが免疫です。
いわば免疫は、あなたというお姫様を守ってくれるナイト(騎士)のようなものですね。
免疫力が弱ってしまうと…
免疫というナイトが弱ってしまい、敵を倒し切れなくなると、体に有害物質が入りこんでしまいます。
そのため免疫力が弱っていると、感染症にかかりやすくなり、風邪やインフルエンザに悩まされるリスクも高まります。
また、一度病気にかかると症状が悪化しやすくなるのも特徴の一つ。
免疫力を上げることは、体を病気から守るために大切なことなんですね。
守って!ナイト様!
免疫は体の中での働きです。人間には皮膚や体毛など、体の外側にも身を守る機能があります。
免疫がお城を守るナイトなら、皮膚や体毛はお城の外側の高い外壁のようなもの。例え敵が外壁を超えてきたときでも、強いナイトがいれば安心ですよね。
免疫力を上げることは、お姫様を守ってくれるナイトを強くすることと同じです。
強いナイト様にあなたの体を守ってもらいましょう。
免疫力を高める3つのポイント
免疫力を高めるには大きく分けて3つのポイントがあります。が、ここでちょっと注意点!
「免疫力」というのは、数値で明確に測れるものではありません。
例えば血圧なら「140/90mmHg 以上 ※1」で高血圧など基準がありますが、免疫力はその基準も無ければ、そもそも数値で測れるものでもありません。
※1 日本高血圧学会 一般向け「高血圧治療ガイドライン」解説冊子『高血圧の話』5pより
免疫が上がった!は主観的
また、免疫力が上がった状態というのも、風邪をひきにくくなった、病気がすぐに治りやすくなった、なんか体の調子が良い気がする…など、主観的なものです。
免疫力を高める方法とは、実践しながら自分の体の調子がどうなるかを観察していくという性質のもの。
お姫様とナイトの例で言えば、ナイトにちょっとずつご褒美を上げながら、どう成長していくかを見守るような感じですね。
この点を踏まえた上で、免疫力を高める3つのポイントを順に見ていきましょう。
1.腸内環境を整える
免疫力の約60~70%は「腸」に備わっていると言われています。そのため、腸内環境を整えた状態に保っておくことは、免疫力を高めることにつながると考えられます。
腸は、口から入った食べ物を消化し、必要な栄養素だけを吸収し、細菌やウイルスなど害のあるものは排除するという体を守る役割も果たさなくてはなりません。
食べ物にウイルスや病原菌が付着していたとき、腸内の免疫力が高ければ有害物質をやっつけてくれますが、腸内環境が悪い場合は有害物質の侵入を許してしまうかもしれません。
腸内環境を整えることは免疫力アップの他にも、便通・便秘にも影響してきますので、ぜひ意識しておきたいポイントです。
腸内環境って何?
そもそもこの「腸内環境」とは、どういう意味なんでしょうか?
腸は主に消化・吸収を担う「小腸」と、排泄を担う「大腸」とに分かれますが、腸内は、縦毛(じゅうもう)とよばれる無数のヒダに覆われおり、そこから栄養分を吸収し毛細血管を通じてその栄養素を全身へ送る役目をもっています。
また、腸の壁面には、細菌が沢山住んでいます。
これが「腸内細菌」です。
腸内細菌は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(ひよりみきん)」の3つに分かれ、このバランスがとても重要です。
健康な人の理想のバランスは、善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌が70%で、悪玉菌が全て無くなってもいけないのです。
最も割合の多い日和見菌は、善玉菌と悪玉菌の様子を見ながら、どちらか優勢な方の味方につくという、なんとも優秀な菌なんです。
腸内細菌が広がっている様子を顕微鏡で見ると、まるでお花畑のように見えることから、「腸内フローラ(※フローラはお花畑の意味)」と呼ぶようになりました。
腸内環境とは、腸内細菌のバランス、つまり腸内フローラの状態のことを言います。
善玉菌が重要
腸内細菌のうち免疫細胞を活性化し、有害物質を外に出す働きをするのが「善玉菌」です。
免疫力が低いと感じる場合、この善玉菌が少なく、腸内フローラのバランスが崩れ、腸内環境が悪くなっている可能性があります。
善玉菌と言っても分かりにくいかもしれませんが、身近なのは乳酸菌の一種である「ビフィズス菌」です。
ビフィズス菌と言えばヨーグルトですよね。
免疫細胞を活性化させる善玉菌=ビフィズス菌を補うために、ヨーグルトを食生活に取り入れるのは良い方法です。
もう一つのキーワード「オリゴ糖」
ビフィズス菌を増やす方法として、体内のビフィズス菌を増やす方法もあります。
そのキーワードが「オリゴ糖」です。
オリゴ糖は大腸で善玉菌のエサになり、ビフィズス菌の増殖をサポートする働きがあります。オリゴ糖が含まれる食品には、バナナやはちみつ等があります。
どちらもヨーグルトと一緒に摂りやすいので、朝食に取り入れてみると良いかもしれません。
食物繊維も大切
また、バナナ等に含まれる食物繊維も重要です。食物繊維は胃や小腸ではなく、大腸で発酵・分解されます。
分解された食物繊維も、腸内の粘膜を守って善玉菌を増やす働きがあり、オリゴ糖と同じくビフィズス菌の増殖をサポートしてくれるので、バナナとヨーグルトを取り入れるのは良い食事方法です。
自分のお腹にあった食材を探しましょう。
例外はありますが、基本的には発酵食品と食物繊維が免疫力アップには良いと覚えておくと良いでしょう。
もちろん一つの食材にこだわりすぎず、バランスのとれた食事が大切なのは、どんな時でも変わりません。
2.体温を上げる
免疫には体温も深く関わっています。
体温が1度下がった場合、免疫力は何と30%も落ちると言われています。冷たい食べ物や飲み物を控える等、なるべく体を冷やさない工夫が必要です。
特に、平熱が低い人は要注意です。
低い体温では、免疫機能が正常に働かない可能性があります。体温を上げるには、筋肉をつけるのがとても良い方法です。
筋肉がエネルギーを代謝して作る熱量が多くなれば、自ずと体温も上がります。
体温上昇のもう一つの効果
実は私たちの体の体温が上がると、血液の流れがよくなり免疫力が高まります。
血液は私たちの体を構成する約60兆個もの細胞に栄養と酸素を送り届け、かわりに老廃物を持ち帰る働きをしています。
その血液の中に、免疫機能を持った白血球が存在し、その白血球が体の中をめぐることで、体の中の異物をパトロールしています。
体温が上がって血の巡りがよくなれば、血液中の白血球が体全体に行き渡るようになり、免疫機能が発揮されるようになります。
体を温める食べ物としては、ショウガが有名です。その他、寒い地域で摂れる食材には、体を温める働きがあると言われています。
野菜ならカボチャ、ニンジン、レンコン、ゴボウ、果物はリンゴ、さくらんぼ、魚では北の海でとれるマグロやシャケ、サバなどが挙げられます。
3.抗酸化食品を摂る
免疫が働くには、免疫細胞にきちんと働いてもらう必要があります。免疫細胞が傷ついてしまうと、当然、免疫機能は低下してしまいます。
細胞にダメージを与えるのが、体内の「活性酸素」です。
体内の活性酸素は様々な要因で増加しますが、主に睡眠の乱れによるホルモン(メラトニン)の分泌不足や、食生活の乱れ、紫外線などから活性酸素が増加します。
そこで取り入れたいのが、抗酸化作用がある食べ物です。
抗酸化作用がある食べ物としては、ここでも登場のバナナやしょうが、その他、トマトやアボカド、緑黄色野菜や大豆などがあります。
活性酸素が増加すると、免疫力が低下するだけでなく、シミ、シワなどの肌荒れや、白髪などの老化現象も引き起こしてしまいます。
美容の面から見ても、抗酸化作用のある食べ物は重要なんですね。
サプリメントで免疫力は高められる?
免疫力を高める方法として、サプリがおすすめされる場合がありますが、これは慎重に判断したいところです。
記事中でお伝えした通り、免疫力は客観的な指標がありません。
腸内環境を整える方法も、あくまで免疫細胞を活性化させる善玉菌・乳酸菌にアプローチするもので、理論上はそうなるだろう…という性質のものです。
サプリメントにも乳酸菌が含まれている商品はあるので、人によっては免疫力が上がるきっかけになるかもしれません。
ただし、サプリを摂る場合でも、自分でしっかりと知識を持ち目的を持って摂るべきです。
今回の場合で言えば、バナナやヨーグルトが苦手で時間もあまり無いから、今の時期はサプリを摂って様子を見ている…というようなスタンスですね。
サプリメントに限らず、正しい知識を持って自分の体と付き合っていくことが一番重要です。
まとめ
免疫力を高める3つの方法について見てきました。簡単にまとめると…
- 腸内環境を整える
- 体温を上げる
- 抗酸化食品を摂る
この3つですね。
あくまで「免疫力が上がるとされている方法」ですが、免疫力アップだけではなく、様々な体調を整えてくれる方法でもあります。
ご自身の生活に少しだけ取り入れてみて、体の様子をうかがってみましょう。
実践前よりも「免疫がついたな」「体調がいいなぁ」と思えたら、それはあなたに合った方法です。
自分の身を自分で守るために、ちょっとずつ試してみてはいかがでしょうか?
この記事の監修
深野 真季子
管理栄養士、フードスペシャリスト、食と健康クリエイター、ミスブライダルモデル北海道ファイナリスト
北海道札幌市出身。食のお医者さんを目指し、藤女子大学食物栄養学科を卒業。
栄養学を専門に学び、清涼飲料・食品会社で勤務した後、現在では、第7の栄養素として注目される遺伝子の原料「核酸」が持つさまざまな生理機能について勉強をしながら、遺伝子レベルからの健康づくりに役立てる様、啓蒙普及活動を行っている。
監修者の著書